2020年11月15日の 14:08 に、蠍座の新月を迎えます。今回はいくつかのアスペクトから、この新月の様子を見てみます。
こちらが蠍座の新月となるときのホロスコープです。
今回は以下のアスペクトに注目してみます。
アスペクト | 度数 | |||
太陽・月 | — | 木星・土星・冥王星 | セクスタイル | 60度 |
金星 | — | 木星・土星・冥王星 | スクエア | 90度 |
金星 | — | 火星 | オポジション | 180度 |
水星 | — | 天王星 | オポジション | 180度 |
金星 | — | 海王星 | クインカンクス | 150度 |
太陽・月と木星・土星・冥王星のセクスタイル
太陽と月は第8ハウス・蠍座に、木星・土星・冥王星は第11ハウス・山羊座にあり、セクスタイル(60度)という調和的な角度をとっています。

蠍座は深く物事を追求したり、特定の誰かと深い絆を結んだりすることを願うサインです。そして、それによって自身を変容させようと試みます。
山羊座は社会的立場というものを考えるサインで、社会の役に立つということを大切にするサインです。目標達成のための努力を惜しみません。
物事の追求によって、社会の役に立つ何かを成し遂げる——このセクスタイルからは、そんな様子が見えてきます。
また、木星・土星・冥王星の位置する第11ハウスは、社会改革をするハウスで、未来へのビジョンや現状への批判といったものを示しています。
太陽と月の位置する第8ハウスは、隠された場所ともいえるハウスで、死や変容などを表していますが、人からは見えない真理の追求が、やがて社会を変えてゆくのかもしれません。
金星と木星・土星・冥王星のスクエア
金星は第7ハウス・天秤座にあり、木星・土星・冥王星とスクエア(90度)となっています。

天秤座は調和を愛するサインで、バランス感覚にすぐれています。また、第7ハウスはパートナーシップや対人関係といったものを表します。第7ハウス・天秤座に位置する金星は、まさに他者と調和してうまくやっていこう、という状態です。
スクエアは、緊張感のあるアスペクトです。
木星・土星・冥王星は、社会の役に立ちなさい、社会改革をしなさい、と金星に対して圧をかけます。調和のとれた人間関係は心地よいものですが、社会を変えるためにはときに「出る杭」となることも必要です。
金星と火星のオポジション
さて、この金星は火星ともオポジション(180度)と、対立関係にあります。

火星は第1ハウス・牡羊座にあります。牡羊座は自分を強く外へと打ち出していきたいようなサインですし、第1ハウスもまた、自分自身や自己表現といったものを表しています。
他者と調和したい金星と、自分を強く打ち出したい火星。
あまり強く自己主張をすると調和は乱れかねませんし、かといって調和することに偏りすぎると、ときには自分を殺すような状態になりかねません。
ですので、自己主張と他者との調和のあいだでうまく釣り合いが取れるように、調整してやる必要があるのです。
水星と天王星のオポジション
第7ハウス・蠍座にある水星と、第2ハウス・牡牛座にある天王星もまた、オポジション(180度)となっています。

蠍座はひとつのことを深く追求するサインです。また、特定の人と深い絆を結ぶことを願います。さらにそれらによって自身を変容させることを目指します。そして、第7ハウスは上でも出てきたように、パートナーシップや対人関係の場所です。
水星はコミュニケーションを司る天体ですので、蠍座・第7ハウスにある水星は、他者と深いコミュニケーションをして絆をつくり、そして自身を変容させようとしている、といえるでしょう。
一方で牡牛座は、自分の五感や体感といったものを大切にしますし、持っているものを大事にするサインです。そして、第2ハウスもまた所有や物質的な豊かさといったものを表しています。
天王星は改革の星です。現状打破を試みる水星に対して、天王星が「今あるもので満足できないの?」と諭しているような、そんな様子が見えてきます。
現状打破と現状維持、これもまたうまく釣り合いをとる必要があります。永遠に現状維持することはできません。何も行動しなければ、それは現状維持どころか、状態の悪化を招くのが常です。
かといって、今あるもののありがたみを忘れるのもよくありません。往々にして人は、自分に「ある」ものに気を配らず、「ない」ものばかりに目がいくものです。それは仕方のないことでもあるのですが、時々は自分に「ある」ものに目を向けることも必要でしょう。
金星と海王星のクインカンクス
第7ハウス・天秤座の金星は、第12ハウス・魚座の海王星とクインカンクス(150度)となっています。

クインカンクスとなるふたつのサインは二区分・三区分・四区分のいずれにおいても異なり、どこかぎくしゃくとした葛藤を抱えています。
魚座は自他の境界を取り払って溶け合ってしまいたい、そんなサインです。必要なもの・不要なものという区別をせず、すべてを拾いあげたいと考えます。また、第12ハウスは精神世界や集合的無意識などを表します。
調和を楽しみたい金星と、すべてを愛そうとする海王星。
調和のとれた人間関係というのは、ある限られた範囲の中でのものです。全ての人と調和的な関係を築くというのは、不可能でしょう。ですが、海王星はすべての人を愛したいと考えます。
魚座も第12ハウスも、自己犠牲をしようとする、という特徴を持ちます。魚座や第12ハウスの愛というのは、見返りを求めない愛なのです。相手に好かれようが嫌われようが無視されようが、愛する。
金星の目指す調和のとれた人間関係というのは、双方向の愛あってのものですが、海王星の目指すところは、片道の愛です。そういう意味で、金星と海王星のあいだにはどこか葛藤が生じているのです。
第12ハウス・魚座の海王星のような愛もまた、人々は持っています。さすがに全人類を愛せる、全生命を愛せる、という方はそうそういないでしょうけれど、見返りを求めない愛というのはけっして稀有なものではありません。
きっと片想いをしたことのある人は多いでしょう。もちろんそれがやがて両想いになることもありますが、片思いのまま終わってしまうことだって珍しくありません。
あるいは、誰かアイドルやタレントを応援しているという人は珍しくないのではないでしょうか。これもまたある意味では、片道の愛です。相手が自分の存在をたとえ知ることさえなかったとしても、人は好きな著名人を愛せるのです。
双方向の愛も、一方通行の愛も、どちらも人には必要なものなのかもしれません。一方通行の愛はときに苦しみにもつながりますが、そうではなく人を幸せにすることもあるのです。
新月は新しいサイクルの始まり
というわけで、蠍座の新月での5つのアスペクトについて見てきました。
新月は、月の満ち欠けの上で、新しいサイクルの始まりとなります。何かを新しくスタートさせたり、仕切り直したりするのには、ぴったりな時期です。とくにこの新月では
- 社会の役に立つことをする
- なにかひとつのことを追求・探究する
- 誰かと深い絆を結ぶ
- 自己主張と他者との調和のあいだの釣り合いをとる
- 自分に「ある」ものに目を向ける
といったことにスポットライトを当てるとよさそうです。小さなことでもコツコツと続ければ、大きな実がなる可能性は充分にあります。
どんなことも、始めないことには始まりません。挫折しても気にやむことはないのです。始めただけでもすごいことですし、また再開できる日が来るかもしれません。
あなたが新しい月のサイクルを心地よく過ごせることを、願っています。